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十勝川のサケ 人工ふ化の歴史は約120年 石垣章さん

公平の「教えて!十勝」

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この記事の投稿者JAGA

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今日は十勝川のサケについて、
以前水産庁にお勤めで、
現在は十勝エコロジーパーク利用促進協議会
生物ワーキンググループ サケ部会に所属しておられます
石垣章さんにお話を伺いました。


-以前は水産庁でお勤めだったということなのですが、
どのようなことをされていたのでしょうか。

サケの調査研究が主な仕事でした。


-十勝川のサケ、どのような生態なのでしょうか。

現在、十勝川では自然産卵で生まれたサケは殆どいない状態です。
十勝川のサケは、ほぼ人工ふ化放流された稚魚が帰ってきたものです。


-毎年何尾放流していますか。

6500万尾です。


-そのうち何尾が戻って来るのでしょうか。

4%程度です。100尾放流した内の4尾ですね。
放流された稚魚は、5月サクラの花が終わるころに川を下って海に出て約2か月間、
エサを取りながら成長します。
しかしその間に、他の魚に食べられたり環境に適応できずに8割が死んでしまいます。




―自然のサケは何%程帰ってくるものなのでしょうか?

サケの雌親魚は約3、000粒の卵を持っているのですが、
その内、2尾が帰ってくると仮定しますと、回帰率としては0.08%程です。

サケが自然産卵した場所に、後から遡上してきた雌のサケが、
前の産卵床を掘り返して産卵するといったことが繰り返されます、
最後に産卵した卵が生き残るといったことが起こるんです。


―戦いは雄だけではないんですね!!

非常に厳しい生存競争の環境(世界)です。


-十勝川について話す上で千代田堰堤は外せません。
十勝釧路管内さけ・ます増殖事業協会は、
千代田新水路に遡上するサケ100匹に標識を着けて上流に放す
実証実験を行っています。どのような目的で行われていますか。


千代田堰堤には魚道が設置されていますが急こう配のため殆ど遡上することができません、魚道入口付近で重機(クレーン)ですくい上げてサケを獲り、採卵しています。
この費用が膨大で、現在漁業者が全て負担しています。
もしも上流にあるふ化場までサケが遡上してくれると池に直接入ることも考えられ、
このコストを抑えることができます。

もう一つの目的として、サケの環境適応能力を上げる必要があるという点です。
十勝川における人工ふ化の歴史は長く、明治25年から約120年経っているんですね。
千代田堰堤ができたのは昭和10年です。それ以降はサケが上流に上がっていないんです。つまり、千代田堰堤より上流で自然産卵で生まれたサケが自身の環境適応能力を残すことで環境が変わっても生きられるということになります。

千代田堰堤が出来る以前は、新得の川や清水の川にもサケが遡上し、
捕獲されていた記録が残っているんですよ。

―サケ100匹に標識を着けて上流に放す実証実験の現在までの結果はどうなっていますか?

上流にあるふ化場まで、約4,5キロ程ですが、
100尾放流して、1週間で50尾が遡上して来ています。
これから、もっと増えて行くと思います。


―今後の十勝川におけるサケの利用と言うのは、どの様な方向に進もうと考えられているのでしょうか。

もともとサケは冷たい水の中で生活する魚です。
しかし、現在地球温暖化がさけばれ、十勝川の沿岸でも海水温が20度以上になることもあり、今後更に水温が高くなることが懸念されています。
サケが生きられる水温は上限13度と言われているので、
現在の十勝川はサケにとって非常に厳しい環境と言えます。

これからもサケが、この環境が厳しくなった十勝川を遡上し、自身で産卵場所を選び、
世代交代を繰り返せるようになると、自然環境に適応出来るサケが増え、
後世の子供達にもサケが遡上する十勝川を残すことができると思います。
自然のサケの力(能力)を残すことにより、
サケ自身が生活できるところを選んで生きることができ、温暖化で水温が現在よりも高くなっても自然産卵で生き延びられるサケを増やす必要があると思っています。


―最後にラジオをお聞きの皆さんにメッセージをお願いします。

十勝川には千代田堰堤近くに新水路もあり、サケの遡上を見る事ができます。
十勝川の魚について、多くの方に関心を持って頂きたいと思います。
また、サケが死んだ後、野鳥も集まって来ています。
自然のすばらしさを堪能して欲しいと思っております。

そしてもう一点食べることについてです、
回転寿司のサーモンは多くの方に喜ばれ沢山消費されていますが、外国で日本向けにつくられた養殖魚です。
十勝川のサケは、ベーリング海まで行って、4年・5年たって帰ってくる自然魚です。
十勝では自然の魚(サケ)があまり利用されていません。
一方、外国では自然魚が見直されており、高い値段で取引されています。
日本のおいしい魚が自然魚ということで輸出され、毎年20万トンの魚が中国に輸出され加工され、更に富裕層の多い外国に輸出され消費されています。

フードバレー十勝では「野菜・乳製品・肉」が大きく取り上げられています。
十勝には、自然のサケがあります。
関係者の方々には是非、関心を持って頂き、クローズアップして頂きたいです。
フードバレーで地元の魚を取り上げて欲しいですね。

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クリスマス・イブの1994年12月24日に開局したコミュニティーFM局。十勝に根差し、リスナーとの共感を大事に放送しています。

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