今週は、アフガニスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Afghanistan）をピックアップ！

シルクロードに位置し、中央アジアの文明の交差路であるアフガニスタン。

＜国の位置＞
中東・南アジアに位置する内陸国。南及び東にパキスタン、西にイラン、北にタジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、国の東端（ワハーン回廊）は中華人民共和国に接する。

首都…カブール

＜面積＞
652,225平方キロメートル（日本の約1.7倍）

＜人口＞
3,439万人（2010年：世銀）

＜民族＞
パシュトゥーン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人等

＜宗教＞
イスラム教
（主にスンニ派のハナフイ学派であるが、ハザラ人はシーア派）

＜気候＞
厳しい大陸性で、夏の暑さは50℃に達し、冬には多くの山岳地区で-30℃が観測される。

＜主要産業＞
農業（小麦、大麦、ジャガイモ、米、アーモンド、サトウキビ等）

出典・参考：外務省HP、アフガニスタン大使館HP、ナショナルジオグラフィックHP

今週は…
JICA研修員のマレクザーダさん

■よろしくお願いします。まずは自己紹介からお願いします。

マレクザーダさん 以下マ）はじめまして、マレクザーダです。アフガニスタンから来ました。どうぞよろしくお願いします！

■アフガニスタンはどんな国ですか？

マ）アフガニスタンについて、ニュースで見たり聞いたりすることがあると思います。ニュースで見てお分かりのとおり、アフガニスタンは今も紛争や自爆テロなど悲しい事件が続いています。34ある州のうち20の州ではいまだに紛争が起きています。わたしの住んでいる首都カブールでも戦争はないものの、人々は毎日自爆テロにおびえながら生活しています。でも、アフガニスタンの人たちは心から平和を求めています。日本の方々にはぜひ、アフガニスタンの現状をよく理解し、平和な国づくりへの支援をお願いしたいと思います。

■アフガニスタンの良いところはどんなところですか？

マ）気候が穏やかで、フルーツがおいしいところです。特にアフガニスタンのドライフルーツは農薬を使わず作っているので、とても美味しいと有名です。レーズン、ナツメ、イチジク、アンズなど、バラエティも富んでいます。

■オススメの観光スポットを教えてください。

マ）首都カブールにはたくさんの観光地があります。青い屋根が美しい豪華な宮殿「バーゲ・バーラ」、避暑地として有名な「カルガ湖」が人気です。その他にも宮殿「バーゲ・ザナナ」、「カブール広場」、「パグマン庭園」など、美しい場所がたくさんあります。
また、マザレ・シャリフの「ブルーモスク」、バーミヤン州の美しい湖「バンデ・アミール」もお勧めです。バーミヤン州には、大変有名な「ボテ・バーミヤン(バーミヤンの大仏)」があり、アフガニスタンで一番の観光名所ましたが、2001年にタリバンが破壊してしまいました。

■オススメの季節はいつですか？

マ）アフガニスタンの気候は一年を通して穏やかです。四季があるので、どの季節に来てもその美しさを楽しむことができます。わたしは夏から秋にかけての季節が一番好きです。

♪デラガ・スルッド　「アフガニスタン」
　ハルモニアと呼ばれるアコーディオンのような楽器を演奏しながら歌っています。

■普段は何語を話していますか？

マ）アフガニスタンの公用語はダリー語とパシュトー語です。ダリー語はアフガニスタンで使われているペルシャ語の一派で、国民の90％以上がダリー語を話すことができます。パシュトー語は、国民の約30％が話します。わたしは普段の生活ではダリー語を使っていますが、オフィスでは必要に応じてパシュトー語や英語を使うこともあります。

■あいさつを教えてください。

マ）こんにちは⇒サアラム
　　　さようなら⇒アラーハフェス
　　　ありがとう⇒タシャクール

■アフガニスタン料理について教えてください。

マ）アフガニスタンの料理はバラエティ豊富です。お肉を包んだマントウ(まんじゅう)、アシャク(餃子)、ボラニ(具を挟んだパン)などをご飯かナン、野菜のソースと一緒に食べます。個人的には、ラム肉と人参、レーズンの入ったガビリ・パラオ(ピラフ)が一番好きです。

■お祭りについて教えてください。

マ）アフガニスタンには大きなお祭りが3つあります。ナウロース、イード・クルバン、イード・ラマダンです。
ナウロースは春を祝う新年のお祭り。新しい服を着て家族みんなで出かけたり、凧上げして遊んだりします。
イード・クルバンは犠牲祭です。お気に入りの服を着てモスクに行き、ヒツジをささげてお祈りします。ささげたヒツジの半分は家に持ち帰って家族で食べます。もう半分は、ヒツジを買うことが出来ない貧しい人たちに配ります。
イード・ラマダンは、ラマダンの終わりをお祝いする行事で、無事にラマダンが終わったことに感謝し、ラマダンが終わった後の3日間、みんなで豪華な食事をとってお祝いします。
どのお祭りも、家族や友人が一緒に過ごす、大切なお祭りです。

※イスラム暦に基づいたお祭りなので、毎年日付が違います。2012年は、ナウロースは3月21日、イード・ラマダンは8月19日、イード・クルバンは10月26日だったそうです。

■アフガニスタンのスポーツというと何ですか？

マ）アフガニスタンの国技「ブズカシ」は大人気です。馬に乗った選手が２チームに分かれて子牛の死体を奪い合います。競技場の中央にあるサークルの中に子牛を入れたチームが勝ち、賞金を受け取ります。速く走る馬を上手に操り激しくぶつかり合う、危険なスポーツです。子牛が落ちたり、選手が上手に奪ったりすると大歓声が上がります。

■アフガニスタンの音楽について教えてください。

マ）国内で一番人気のある歌手は、国を代表する歌手アーマッド・ザヒールです。その息子リシャドも同じく歌手で、この親子のことを知らない人はいません。
アフガニスタンは長い間、自由に表現することが難しい国でした。ですから、多くのアフガニスタン出身の歌手が国外で活動しています。ロシアのモスクワで活動しているワヒード・サビリは、故郷アフガニスタンの壊された町や戦争の愚かさ、傷ついた人々の心について歌い、アフガニスタンの現状を世界に伝えています。また、カナダで活躍する女性歌手ムルシュダは、戦争で傷ついた人たちを元気づける歌を歌っています。彼女は年に1回はカブールに来てコンサートを開いています。

♪ワヒード・サビリ　「サロサル　ジュムラ　ワイロン」
　悲惨なまでに破壊された故郷アフガニスタンを思う彼の悲しみを歌った曲。

■どんなお仕事をしていますか？

マ）私はアフガニスタン農務省の農村振興部門で働いています。畜産に関する統計調査、データの分析、問題や要望の調査、そしてその問題を解決するための政策の作成を行っています。

■家族についておしえてください。

マ）私の父には2人の奥さんがいて、兄弟は全部で13人です。私は父の一人目の奥さんの最初の子どもです。アフガニスタンでは家族の絆がとても強く、一緒に過ごす時間を大切にしています。親戚の家族が訪問することも多く、家はいつもにぎやかです。

■日本には9月に到着したそうですが、驚いたことはありますか？

マ）飛行機で日本に降り立つ時に見えた景色‐ビルや公園、住宅が整然と並んでいることに驚きました。日本の都市計画は完璧で美しいと思います。そして東京から帯広に降り立つ飛行機の窓から見た風景にも驚きました。畑がまっすぐきれいに並んでいて、とても美しい風景でした。

■日本の好きなところはありますか？

マ）「清潔」を心がけて生活していることです。特にみんなが使用する場所では、個人個人がゴミを自分で捨てる、イスを元の位置に戻すなど、きれいに保つための行動が自然に身についていることは美しいと思います。

■アフガニスタンと日本の違うところと似ているところを教えてください。

マ）違うところ：日本は平和ですべてのものが発展しています。アフガニスタンはこれからみんなで協力して平和にし、発展させていかなくてはなりません。
　　似ているところ：四季があり、それぞれが美しいところ。人々がフレンドリーで他人に優しく親切なところ。家に入るとき、靴を脱ぐ習慣も同じです。

■日本で行ってみたいところはありますか？

マ）アフガニスタンは内陸国なので、海に行ってみたいです。それから札幌に行って買い物がしたいです。アフガニスタンでは日本に比べて電子機器が非常に高価です。そして高価なのに品質が悪いんです。できたらパソコンやカメラを買って帰りたいです。

■JICAの研修に参加したきっかけは何ですか？

マ）私は「地域資源に基づいた乳肉生産のための牛の飼養管理」コースに参加しています。アフガニスタンは戦争ですべてのものを失い、何もかもゼロからスタートしなければなりません。アフガニスタンの畜産業、家畜管理システムの構築をしていくために必要な知識を、この研修コースで学びたいと考えました。

■JICA北海道(帯広)での研修について教えてください。

マ）短い研修の期間に、必要なことがすべて濃縮された価値のあるコースです。すべての知識・技術がわたしにとって新鮮です。例えば、サイレージについて初めて知ることができました。アフガニスタンでは今までサイレージを作ったり使ったりしたことがありません。サイレージは様々な食品残さ(穀物、果物やジャガイモのパルプ)を利用して作ることができます。アフガニスタンではサトウキビとトウモロコシを生産しているので、それを使ってサイレージを生産し、畜産分野の生産向上に役立てることができます。

■帰国後の展望を教えてください。

マ）帰国したら、研修で学んだことについてワークショップを行うよう言われています。農家の方々を対象に、サイレージの作り方、家畜の管理の仕方など、研修で学んだすべてのことを伝え、アフガニスタンの農家が直面している様々な問題解決に取り組んでいきたと思います。

■最後にメッセージをお願いします。

マ）I would like to thank for all the listeners of the radio. I want to thank for JICA office and Japan country and people to pert the ground for me to come here and take a lot of experience. And I request all the listeners of the radio to make a next chance for me to come again here because Afghanistan need more help in different parts and Japan can easily help our country. Thank you very much.

ラジオを聞いてくださった皆さんに感謝を伝えます。そしてJICAの方々、わたしが日本に来てたくさんの事を経験するサポートをしてくださった皆さんに感謝します。みなさん、わたしがもう一度日本に来ることができるよう、願っていてください。アフガニスタンは様々な分野で、日本の支援が必要です。ありがとうございました。

♪ムルシュダ　「アーショク　ショダイー　ボーザ」
　ハッピーソング！

■ありがとうございました！