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それは恋だったのだ(仮)

雑記

湖西しーた

この記事の投稿者湖西しーた

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中学生になった私は辟易していた。
ただでさえ得意でなかった算数が、数学と名を変えて襲い来る毎日にほとほと困り果てていた。

うまく言い表せないが、数学から言い知れぬ無機質な怖さを感じていた気がする。
算数はもうちょっと、人情味があったと思う。

たとえば。

さとしくんは 八百屋さんで、みかんとりんごを合計12個買って、600円払いました。

…のような書き出し。
とりあえず店先の光景が想像できるし、その後の問題文にもさとしくんと店員さんの微笑ましいやり取りを考える余地がある。
みかんとりんごを合わせて12個買ってぴったり600円払ってきてねと指示を出した、お茶目なさとしくんのお母さんの姿すら浮かべられる。
自分がそんなお使い頼まれたら嫌だけど。

それでもって、みかんとりんごを1個、2個…と数えていく過程は純粋にフルーティで絵面が楽しい。
計算は元々不得意だったが、ある種苦し紛れの楽しみ方を見出すことに当時小学生の私は成功していたのである。

分数がどうしても理解できなかったときは、ホールケーキを切り分ける妄想で何とかした。
リットルの計算は全部オレンジジュースで賄った。
暗算が苦手だったのでいつまで経ってもサクランボ算を使っていた。

思い返せば見事に食べ物に関するものばかりだが、実際そうやって算数に対するやるせなさを食欲にすり替えてきたのだ。

それが突然、「x」「y」である。

いやいやいや、染色体じゃないんだから。
ポケモンじゃないんだから。(ちょっと古いですか)

かつて「考」という漢字を習ったとき、クラスメイトの誰かが「せんせ~、国語の授業なのに漢字の中に5って数字が入ってるよ~!」と難癖をつけていた瞬間がよぎる。

先生、数学の授業なのに計算の中にアルファベットが入ってるよ………。

喉まで出掛かった一言を飲み込み、向き合ってみるもエックスはエックスであり、みかんやりんごにはならないのだ。

授業の進み方も小学校とは全く異なり、問いに対して答えを速やかに出す方法を淡々と教えられてゆく。
え?小学校もそうだった?
それは今ここでは置いておいてください。

中学を卒業し、なんとか高校生にランクアップする頃には、私はすっかり数学アレルギーになっていた。
問題文を見るだけで体中の毛根が痒くなるのである。
斯様な症状は私だけかと思って調べてみたら、けっこう色んな人が同じ目に遭っていた。

無論高校でも数学は容赦なく私に襲い掛かった。
より機械的に、より作業的に。

なすすべなし――

ノートの上が(誤答で)真っ赤に染まったある日、先生がなんとも人間味のある言葉を黒板に書き綴った。

『三角関係の求め方』

一筋の光を見た気がした。
それまでただの、記号を求める作業だった数学が、突然何かのドラマと見紛うような………
いや実際見紛うただけなんですけど………

結果、『三角関数』の書き間違いだったというだけの話なのだが、あの日のことは妙に鮮明に憶えているのだ。

決して斎藤工さんがキャスティングされるような展開は起こらなかったし、多分今後も起こらないのだが、あれ以来少しだけ私のアレルギー反応は収まった。

うん。

収まった。

それが点数に還元されたかと言われると、

うん。

とにかく収まったのである。









みかんとりんごとさとしくんの、三角関係が薄っすら脳裏に浮かんで消えた。

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